岡崎藝術座 Okazaki Art Theatre
イスラ! イスラ! イスラ!
Isla! Isla! Isla!
★★★三重公演決定!★★★
【三重公演】2016年7月9日~10日 @三重文化会館 小ホール
『+51 アビアシオン, サンボルハ』と『イスラ! イスラ! イスラ!』
2作品を三重で同時上演いたします。
「人々の移動と他者の集まる社会」というテーマで貫かれた両作品をお楽しみください!
「この川におまえが落としたのは、金の人間か、それとも銀の人間か。固有種か、それとも外来種か。」
モチーフは島(isla)
熊本、京都、東京、横浜で上演!
ペルー生まれ、パラグアイ、アメリカ、日本(川崎)育ち。沖縄、北海道、リマ、ネバダ、所どころに暮らす親族。多文化・多言語に囲まれた環境のもと、岡崎藝術座を率いる劇作家・演出家の神里雄大は、日本に暮らす人々の多様な差異や背景と、移民・移動して生きていく人々の姿に焦点をあて、創作を続けています。
本作では、さまざまな文化や言語や政治などが外部から持ち込まれ、そのなかで衝突、融合、変貌していく架空の島々というイメージを核とし、モチーフを集めました。なかでも、高知出身の2人ーージョン万次郎 (1827-1898)の生涯や、戦後大流行したマンガ「冒険ダン吉」のモデルとも噂された実業家・森小弁 (1869-1945) の外への関心を持ち続けた姿勢は、他者への無理解や排他的な雰囲気の強い現代日本にとって重要な意味を持ち、近年神里が考察している「他者との共生」という問題に繋がっています。世界に目を向ければ、街に移民が溢れ、国籍や国境の境界線を越えた共生の可能性が問われています。「島」というモチーフと共生への追求によって、いま岡崎藝術座はどんな世界を提示するのでしょうか。ご期待ください。
この川におまえが落としたのは、金の人間か、それとも銀の人間か。固有種か、それとも外来種か。
おまえが怖い、いつかおまえがわたしの皮を剥ぎ、競売にかけ、肉を捨て、目玉をアクセサリーにしてしまうかもしれない。わたしの家族を殺して焼いてしまうかもしれない。永遠の川底で、終わらないディスカッションを始め、言語を理解せず、やさしい顔をして、過去の自分のふがいなさにいつまでもしがみつき、わたしの乳首をちょん切り、愛撫をかまし、役人風のいでたちでにやにや笑うかもしれない。終わらないごっこ遊び、濡れた幕。スキューバダイバーが酸素を吸いながらそのさまを見ている。おまえがわたしを好きにするのを。とんちんかんな言葉をつかって、とんちんかんな腕の動きをするのを。
ワニはたくさんしゃべって疲れたのか、陸にあがってきたので、わたしはたくさんのエネルギーを集めて、自分で建てた小屋まで走って逃げた。ワニはのそのそ後からついてきた。午後の太陽が赤くて厳しい。そんなときにあいつらはやってきたのだ。(戯曲より)演出ノート
#所有する
土地というのは誰のものなのか、というのはいつの時代にも争われるもののようだし、何かを所有するためには、正義の名において正当な主張が必要なようだ。
自分のものであることと、それを他者に向けて熱烈にアピールすることが、同義語にでもなったかのような、そんな価値観とそれに基づいた世の中が足音を大きくしてやってきた気がしている。もしくは自分が世間知らずで最初から世界はそうなのかもしれないが。
なぜそんなことをしなくてはいけないのか。
人生の安心を得るためなのか、自分(たち)の偉大さを証明するためのものなのか、それとも自分(たち)自身の存在を証明するために必要なことなのか。
#逃げる
取材と称して、2015年の多くの時間をわたしは自分の所属していない土地で過ごすことにした。
というのも、自民族/自国語の優位性を確保するために、他民族/他言語を貶めるようなやり方からも、自分と異なる考えを持つ人や集団に対して、醜く罵るような言葉の使い方からも、逃げたくなっていたから、というのが本音である。それから、そういうことに自分も加担しているような気がして、それがきついとも思った。
前作の『+51 アビアシオン, サンボルハ』もそうだけれども、自分にとっての中心の地からできるだけ逃げたい、というのがここ最近の趣向のようである。
#中心を持つ
取材地のひとつである小笠原諸島の父島では、その特異な歴史に夢中になり、島にまつわる話や体験を集めていたが、そういうときには、もう自分が住む土地やそこで大事になっていることは、自分には関係がないかのような錯覚を持つことになった。
自分の中心というものを土地で考えようとすることを、たとえひと時でもやめることで、見えてくることがある。
わたしはできるだけ、多くの、人の考え方、自分にとっては無茶にも思えるような生活習慣などの存在を確認したいと思っている。それはきっと自分から中心を奪い、もっと土地から自由になれる作業だと信じている。
一概には言えないものの、島というのは自分がその場所を選んでいる、ということを知らせてくれるような場所だと思う。
けっきょくわたしの書くものは自分から離れられないのかもしれないが、だったら開き直って、わたしは何から逃げたいのかについて、書いてみようと思った、自分の選んだ島を舞台にして。
#伝達する
俳優には、誰かの言葉を伝えるメッセンジャーとして、言葉をいかに自らの身体に留めないでおくか、それから、身体の動きや表現力で言葉を殺されないぎりぎりのところを目指してもらうように練習してもらった。
彼らが体現する<言葉>が声高になればなるほど、正しさが増せば増すほど、俳優たちのメッセンジャーとしての奉仕は際立ち、そしてときに美しいものにさえ見えてくるかもしれない。
その対比が現れれば現れるほど、それはグロテスクになっていくように考えている。
2016年1月 神里雄大
上演歴
横浜公演 ※終了しました。
会場:STスポット
〒220-0004 横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB12
JR、私鉄各線「横浜駅」から徒歩8分
2/3(水) 20:00
2/4(木) 20:00
2/5(金) 20:00
2/6(土) (13:00)* 20:00
2/7(日) (13:00)* 20:00
2/8(月) (13:00)* 18:00
*受付開始は開演の40分前、開場は30分前
*2/6~2/8の13:00の回は、前作『+51 アビアシオン,サンボルハ』を上演いたします。「人々の移動と他者の集まる社会」というテーマのもとに新作と兄弟的な作品に位置づけられます。
<料金>
前売 一般 2,800円/ 学生 2,000円
当日 一般 3,300円/ 学生 2,500円
ペアチケット 5,200円(前売のみ/『+51 アビアシオン,サンボルハ』とのセット券ではありません。)
*TPAMパスをお持ちの方は 2,500円でご覧いただけます。詳しくはTPAMウェブサイトをご覧ください。
★チケット取扱
[TPAMショーケース参加作品]
[STスポット共催公演]
東京公演 ※終了しました。
会場:早稲田小劇場どらま館
〒169-0071 東京都新宿区戸塚町1-101
東京メトロ東西線「早稲田駅」より徒歩5分
1/ 9(土) 18:30★
1/10(日) 14:00/18:30
1/11(月祝) 14:00/18:30★
1/12(火) 休演日
1/13(水) 20:00
1/14(木) 20:00
1/15(金) 20:00
1/16(土) 14:00/18:30★
1/17(日) 14:00/18:30
*受付開始は開演の40分前、開場は30分前
★ アフタートーク
1/9(土)18:30 終演後 ダニエル・ロング(首都大学東京大学院教授/日本語教育学)×神里雄大
1/11(月祝)18:30 終演後 神里雄大
1/16(土)18:30 終演後 水谷八也(早稲田大学文化構想学部教授/文芸・ジャーナリズム論系)×神里雄大
<料金>
前売 一般 3,000円/ 学生 2,000円
当日 一般 3,500円/ 学生 2,500円
ペアチケット 5,500円(前売のみ)
★チケット取扱
・ローソンチケット(Lコード:39773)
■TEL 0570-084-003/0570-000-407(オペレーター予約)
■ローソン・ミニストップ店頭Loppi
[早稲田大学共催公演]
京都公演 ※終了しました
会場:京都芸術センター
〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2
地下鉄烏丸線「四条駅」22・24番出口より徒歩5分
12/17(木) 19:30★アフタートーク 山田創平(社会学者)× 神里雄大
12/18(金) 19:30★アフタートーク 神里雄大
12/19(土) 15:30★アフタートーク 小川さやか(文化人類学)× 神里雄大
12/20(日) 14:00
*受付開始は開演の40分前、開場は30分前
<料金>
前売 一般 2,500円/ 学生 2,000円
当日 一般 3,000円/ 学生 2,500円
ペアチケット 4,500円(前売のみ)
★チケット取扱
[京都芸術センター共催公演]
熊本公演 ※終了しました
会場:早川倉庫
〒860-0032 熊本市中央区万町2-4
熊本市電「呉服町」電停より徒歩1分
12/3(木) 19:30
12/4(金) 19:30★アフタートーク:岡田利規(チェルフィッチュ)×小田崇仁(高校3年生)
*受付開始は開演の30分前、開場は20分前
<料金>
前売 一般 2,000円/ 学生 1,800円
当日 一般 2,500円/ 学生 2,300円
ペアチケット 3,500円(前売のみ)
★チケット取扱
・岡崎藝術座(シバイエンジン)
・プリコグ(Peatix)作品モチーフ紹介
新作の構想にあたって神里が取材してきた数々が、
それぞれとっても魅力的だったので紹介していきたいと思います。
December 13, 2015小笠原初頭の言葉は、その特徴的な島の歴史が示すように日本語と英語が混合したものになっているようです。 島の最初の入植者は太平洋諸島民と欧米系人で、後から日本人が入植しました。明治期には島民は日本に帰化され、太平洋戦争時には全員内地へ疎開しました。戦後米軍による施政下では欧米系島民だけが帰島を許され英語で教育をうけ、1968年の小笠原返還協定により欧米系島民は日本語講座を学びました。つまり、もともといろいろな言語が接触していたところへ、英語だけの時代があり、その後日本語で生活をしていかなくてはならない状況になったのです。旧島民には日本の内地の大学ではなく、バリやアメリカの大学に進学...December 12, 2015アメリカへ渡った初めての日本人として有名なジョン万次郎を紹介します。土佐藩の漁民として生まれ14歳の時に漂流して無人島にたどり着き、3ヶ月後アメリカの捕鯨船に助けられます。ジョン万次郎の仲間たちはハワイに降ろされたものの、格別な好奇心を示したジョン万次郎はアメリカ大陸までついて行き航海術をはじめとして学問を身につけました。 ジョン万次郎はサンフランシスコでゴールドラッシュの時代を経験し、差別も体験しました。ジョン万次郎は身につけた技術をもって、捕鯨船に乗って日本へ帰国することを決意します。ハワイ・琉球を経由して帰国したジョン万次郎は新規な知識と技術を獲得した人として厚遇される一方で...December 2, 2015モチーフ4.「小笠原諸島」 昨今は硫黄島の戦争映画や沖ノ鳥島の海域問題といった政治的な印象を受けますが、歴史的には日系人と欧米人が共生していたユニークな経歴をもつ島です。 もともと無人島であったところへ欧米とハワイ系の人々が捕鯨船の拠点として移住しました。後に、この無人島の重要性に気付いた幕府が小笠原諸島の領土を主張し、日本人の移住が始まりました。このときから日系人の村と欧米系人の村が緩やかに共生し始めます。太平洋戦争中は激戦地となり、1968年にアメリカから返還されました。 現在の小笠原諸島は観光業を中心に、定期船「おがさわら丸」が来航する周期(6日に1回)に合わせて生活しています。旧...キャスト
稲継美保
Inatsugu Miho
東京芸術大学在学中より演劇活動を開始。特定の劇団には所属せず、活動の場を広げている。これまでに、松井周、中野成樹、坂田ゆかり、矢内原美邦、岡田利規などの演出家の作品を中心に出演している。
岡崎藝術座の公演には2012年より参加し、『アンティゴネ/寝盗られ宗介』『隣人ジミーの不在』『(飲めない人のための)ブラックコーヒー』に出演している。
嶋崎朋子
Shimazaki Tomoko
知人に頼まれモデル活動を開始、2006年女優として初舞台。マシュマロ・ウェーブの舞台を中心に女優活動をしてきている、と同時に映画出演、ノイズバンドumi no yeah!!でのパフォーマンスでも話題を集めてきた。
2005年電気グルーヴ×スチャダラパーPV『twilight』主演、2007年映画『キャラウェイ』温水洋一と共演、 2010年舞台FT/10『悪魔のしるしのグレートハンティング』出演、2013年よりマシュマロ・ウェーブのチェーホフプロジェクトに継続参加。umino yeah!!として映画『We Don't Care』主演、2011年ヨーロッパツアー。
武谷公雄
Taketani Kimio
1979年12月16日 生まれ、大分県出身。プリッシマ所属。1999年に早稲田大学劇団森に参加。退団後、保険会社勤務を経て2007年に演劇活動を再開。主な出演作は、岡崎藝術座『古いクーラー』『レッドと黒の膨張する半球体』『隣人ジミーの不在』、サンプル『シフト』、範宙遊泳『インザマッド(ただし太陽の下)』、木ノ下歌舞伎『黒塚』『三人吉三』『心中天の網島』など。映画「花の名前」(利重剛監督)や企業広告など、映像分野でも活躍している。特技は舞台・映画の名優の形態模写。YouTubeに新作がUPされている。
松村翔子
Matsumura Shoko
フリーの舞台俳優。
2003~2011年、チェルフィッチュの作品に多数出演。他では、遊園地再生事業団、月蝕歌劇団、ポツドール等にも出演。
和田華子
Wada Hanako
京都造形芸術大学舞台芸術学科卒業。同大学大学院に在籍中より、関西を中心に役者活動を続け、松田正隆作・松本雄吉演出『石のような水』(F/T13)で初の東京公演に参加。フリーの俳優として東京の小劇場を中心に活動中。
近年の出演作品はニットキャップシアター『さらば箱舟』(作・演出/ごまのはえ)、趣向『奇跡の年』(作/オノマリコ・演出/扇田拓也)、劇団野の上『東京アレルギー』(作・演出/山田百次)など。
<スタッフ>
作・演出:神里雄大
美術:稲田美智子
衣裳:藤谷香子(FAIFAI)
照明:筆谷亮也
音響:和田匡史
技術監督:寅川英司
技術助手:河野千鶴
舞台監督:渡部景介(熊本・京都公演)、横川奈保子(東京・横浜公演)
映像:ワタナベカズキ
写真撮影:富貴塚悠太
宣伝美術:古屋貴広[Werkbund]
制作:中村茜、内山幸子、川崎陽子
制作インターン:穂坂拓杜
制作協力:古殿万利子[劇団きらら] (熊本公演)
<企画制作>
プリコグ
<製作・主催>
岡崎藝術座、プリコグ
<共催>
京都芸術センター (京都公演)
早稲田大学 (東京公演)
STスポット (横浜公演)
<協力>
プリッシマ、シバイエンジン
<助成>
公益財団法人セゾン文化財団
芸術文化振興基金
アーツカウンシル東京[公益財団法人東京都歴史文化財団] (東京公演)
アーツコミッション・ヨコハマ[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団] (横浜公演)
お問い合わせ